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十月の声をきくと、そろそろ牡蠣がおいしくなる季節。
牡蠣は秋から冬にかけてグリコーゲンがずんずん増し、うまみを蓄えます。消化吸収が良く、各種ビタミン、ミネラル、たんぱく質などをバランス良く含んで「海のミルク」とも呼ばれ、紀元前200年ころのローマ人はすでに養殖を成功させていたといいます。今も、牡蠣ほど世界中で好んで食べられている海の幸も他にないでしょう。
フランスでは生牡蠣こそが最もおいしい食べ方とされ、シーズンになるとレストランの店先には牡蠣のカゴが山積みされます。レストランには殻をむくエカイエと呼ばれる専門の職人さんがいて、達人ともなると5,6分で100個はむいてしまうんだそうです。
生牡蠣はレモンを絞り、殻に溜まったエキスもろとも、つるりとノドにすべり込ませます。つけあわせは昔からパンとバター。もちろんグラスにはほどよく冷やした辛口の白ワインです。
この堅牢怪奇な殻の中にひそむ至福の実り。「谷間の百合」の文豪バルザックは一度になんと144個、ルイ14世は200個たいらげたという逸話が残っています。
日本では生よりも焼いたり煮たりが一般的ですが、刺身を好むくせに牡蠣だけはフランス人と反対なんですね。
日本の牡蠣は広島湾や宮城県松島湾のものが有名です。特に広島は江戸時代から大産地として知られ、季節になると広島から牡蠣を満載した船が大阪の淀川河口に停泊して、そのまま酢牡蠣、殻焼き、牡蠣飯、土手焼きなど牡蠣料理をふるまう水上レストランになったんだそうです。
さて秋の夜長。名月を眺めて味わう海のミルクは、生といきますか、鍋といきますか。
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